ほーりーの日記

2003年に留学して開始したブログ。2018年5月に他のブログから引っ越してきました。

植物園

戦略的失敗という課題が出たので、ローカルネタで対応することにした。The National Botanic Garden of Walesウェールズ国立植物園)の失敗である。( ウェブサイト: http://www.gardenofwales.org.uk/ ) 

SwanseaというWales 2番目の都市から車で30分程度離れている土地に、この植物園はある。

3月1日で閉園してしまう予定となっているので、慌てて行ってきた。

この植物園は、 The Millennium Commission という the National Lottery を財源としている団体が大きく補助金を出して数年前にスタートした施設である。もちろんウェールズ政府もお金を出している。(総額約80億円)

充分な集客実績を残した初年度(2000-1)と異なり、次年度(2001-2002)は半分の実績になってしまった。そして、2002年の中盤より入場者の減少とともに運転資金のショートが問題化し、逐次補助金を関連組織から投入してきたが改善されなかった。(もちろん内部の改革も平行して実行されてきた)

そこで、2003年年末から、その運営に関して議論が活発化し、2004年に入り、債権者達から3月1日を以って閉鎖するとの決定がなされた。

明日、3月1日はステークホルダーがこの植物園に集まり、その存続について決定を下す日である。

簡単に言うと、2000年の節目のお祝いに、勢い良く交通の便の悪い土地にお金のかかる植物園を作ってしまったのはいいが、集客が悪いので維持費もかかるし、2004年3月に閉じてしまいましょうと言うことである。(日本では、こんなに早く決断しませんがね・・・・)

日本では、多目的ホールを作って、無目的ホールと化しているような気がするが、この植物園はそんなことは無いように思える。日本の場合、ハコだけ作って入れるものがあまり無いという事態によくなっているけれども、ここは植物園としての機能の他に、教育面での仕組みも準備されていたようだ。また研究施設もある。それに地元の人からも愛されている施設のようだ。ただ、駅からのアクセスが悪すぎる。これは致命的な欠点だと思う。ただせさえ、人口が300万人しかいないウェールズなのだから利便性を考慮した集客を重視すべきだったと思う。カーディフ付近だったならば、イングランドからの観光客も期待できただろうに。

正確な判断をするために土地選定に関するプロセスを調べる必要があると思う。

もしかすると、1997年、英国議会(Parliament)から権限を一部委譲する形で誕生したウェールズ議会(Assembly)の仕組みが、その戦略的失敗に関係しているんじゃないかなと密かに思っている。(まだ想像ですよ・・・・)

そもそも、公共事業(3セク含む)における失敗とはなんだろう。赤字か?それとも利用率か?サービス内容か?

素敵な植物園だったので、なんとかの継続の道が見つけられることを切に願う。そして、再度暖かい季節に訪れたい。