ほーりーの日記

2003年に留学して開始したブログ。2018年5月に他のブログから引っ越してきました。

イギリスのADSLの状況

ISPReviewというサイトの記事によると、BTのブロードバンドサービスは毎期シェアを落としているそうだ。

そりゃそうだ、値段が高いもの。その割りに、特筆すべきサービスも提供されていない。しかもPPPoAしか対応してないし。IP電話も無いし。

無料モデムを付けるくらいだったら、ランニングコストが少しでも安いほうが消費者は喜ぶと思うのだが。実際、ルーター(特にWiFiが流行っているから無線)を使いたい人だって多いはずだ。

また現在、キャンペーンでiPODが当たる!と銘打っている。しかし、どうだろう。潜在的な顧客の多くに訴求効果があるのだろうか。それだったら、日本のMSNが実施していた1万円商品券プレゼントの方が魅力的だ。

まだまだ、BTは努力が必要だ。

イギリスでは、ブロードバンドは日本よりかなり遅れているように思える。速度も、金額も、コンテンツも。

こちらをごらんあれ。UKのADSLサービス一覧である。

平均的なサービスは、速度512kで、月額5000円強だ。

こんな速度では、音声ファイルは楽しめても、動画は楽しめないのだ。とっても小さな画像なんて、ちっとも楽しくないから消費者は食いつかない。したがって、コンテンツビジネスも幅が限られてしまう。実際、XboxやPS2のオンラインゲームの案内くらいしか魅力的に見えない。

動画が動き出すまでに時間がかかり過ぎるようなサービスに消費者はいまさらお金を落とさないものだ。

日本では、有料動画配信はアニメを中心として成功していると思う。これは、それなりに充実した速度が提供されているからだろう。1M程度でも楽しめるとは思うが、その時点でUKでは月額7000円くらい支払うのだから、それ以上有料サービスへお金を落とす人はそんなに多くないだろう。

日本のコンテンツサービスが断然進んでいるとは言い切れませんけどね。

デフレがいいとは言わないが、シェア争いはこういったインフラの場合はある程度覚悟しないと、将来的な投資の際に苦労するだろうから、もう少し価格を落とすか、さもなければ通信速度を上げる努力をすべきだ。有料コンテンツビジネスも展開できるので、私は後者を薦める。

ADSLの契約は大体最低で1年契約を基本としている。月割りも可能だが、その場合は、初期費用が有料になるので、結局同じだ。日本の激しいシェア争いとは程遠い。それもこれも、BT(ブリティッシュテレコム)という巨人がいるからだ。しかも、彼らはプロトコルをPPPoAにしているので、PPPoEしか提供しない機器がこの国では意味を成さない。このISPReviewの記事によるとマーケットシェアは、BT 42%, AOL 13%, Tiscali 10%, Wanadoo 8%, Pipex 5%である。

結局、最低1年契約ということと、金額が高いことがネックだと思う。

なお、他のISPの場合だとPPPoEも使用可能なので、ルーターの選択肢は広い。メルコもOKだ。

ネットで検索してみたが、この認証プロトコルに関しても結構不満が渦巻いている。BTは自社のサイトで認証プロトコルについて情報を提供していない。ルーターを購入するなら、BT経由で買って欲しいということがそうさせているのだろう。余計な情報を提供したら、エンドユーザは自分で判断して、一般の店からルーターを調達してしまう。それでは、コストぎりぎりのADSLの収益を補完する機器販売のメリットが活かせないから。

UKでは、ダイアルアップ時代に新興のフリーサーブという会社が、利用料金を無料サービスにしたため(収益は通話料金のキックバックだったと思う。)、かつてBTやAOLを打ちのめした事があるのだが、ADSLではこのようなイノベーターは現れるのであろうか?

ちなみに、UKのFreeserveは、フランステレコムの子会社のWanadooの子会社だったのだが、今年の4月末からWanadooへ社名が変わっていた。EU統一ブランドのブロードバンド会社になっていた。(もとは、Dixonsの子会社だったんだけど、2000年ごろWanadooへ売却された。)

日本のADSLマーケットは非常に活気があるが、これを見て、恐怖しているのはBTであろう。もし、新興会社から価格競争やIP電話サービスをけしかけられたら、過去に多くの投資をして古いインフラを多く抱えている会社は、どうしても動きが遅くなってしまう。実際、BTはATMだし。(徐々にイーサネットへも対応しているようだが)